1. 切掛(きっかけ)
三国志 魏志倭人伝 の読解で、檄と言う語に触れた事が ある
その際、飛檄(檄を飛ばす) の意を激励と解するは誤用との主張を行っている人が多い事に気付いた
さて、どうした ものか
2. 飛檄は激励では ないのか
檄と激は異なる字で あり、飛檄(檄を飛ばす)の意として 激励 の意は誤用で あると主張する者も いる様で ある
文化庁 | 文化庁月報 | 連載 「言葉のQ&A」
檄を飛ばす とは - コトバンク
きょうのことばメモ: 「檄を飛ばす」の文句の出ない使い方
「檄(げき)を飛ばす」 | ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 | NHK放送文化研究所
激を飛ばす/喝を入れる - 許容される日本語
との事で ある
3. 漢文を読むべし
上記は漢文の知識を知らない者の妄言と言う他無いが、古代中国での漢文文献では、檄字と激字は通用通字で、混用していた筈で ある
# 今直ぐに事例を示せないが、時間に余裕が出来れば補記を予定する
当時の中国では、漢文文献に おいて現代日本の様な部首の厳格な組み合わせ等が要求されて いなかったので ある
漢文を読んでみれば一目瞭然なので あるが、部首が違う漢字が平然と書かれている事が分かる
そして それ等は誤記でも何でも無く、一般的な慣用として広く採用されている
部首が異なるだけで表音が等しいと言う あれば まだ良い方で、音は通音するが字が全然違う等と言う事も平気で存在している
酷い時には、音も字も全然異なる等と言った場面にも遭遇する事が ある
これは もう、こう言うものだと割り切って文献を読み進めるしか無いので ある
現代日本で "激を飛ばす" と書くと誤用と判(はん)じられて しまうが、古代中国では誤用では なかったので ある
また、檄とは同志を奮い立たせて行動を促すために用いられるもので ある
古代中国に おいて、何かしら危急時に激情を木簡に思うまま書き連(つら)ねたものが檄文と呼ばれる様に なったと言う事で ある
何の事は無い、木を削って思いを書き込んだため、激情の激字から木偏(きへん)の檄字に変わったので ある
この飛檄の過程で、何かしらの行動を起こせしむるために相手を大いに励ますと言う事が あっても、何等不自然では ない
つまり、飛檄と激励は深く関連する語彙なので ある
公開 : 2014年6月8日