邪馬台の訓はヤマドか

1. 邪馬台の読みはヤマドと主張する者が


先日、以下のような不可解な主張を行っている者が いた

邪馬台の読みはヤマドです
上古中国語の読みの復元です

それに対して、私は以下の反論を行った

邪馬台の上古音は ヤマタ なので あるが
そして邪馬臺の上古音は ヤマダ

すると、更に以下のように主張して来た

ヤマダはないですね
出典は何ですか?
私の出典は長田夏樹の『新稿邪馬台国の言語弥生語復元』ですが

出典が どうこうと聞いて来たので、私が執筆活動を行っている事を伝えると、黙り込んで しまった
著作が あると聞いて警戒したので あろうか?
しかし、誤謬は糾しておかねば相ならぬ



2. 臺字および台字の表音変遷


臺字 および 台字 に ついての表音は、以下に掲げる表の通りで ある
臺 および 台 の表音
字音候補 上古音 中古音 中世音 現代音 拼音 呉音 漢音 万葉仮名
- dəg(ダ) dəi(ダイ) t'ai(タイ) t'ai(タイ) tái(タイ) ダイ タイ 該当する表音無し
t'əg(タ) t'əi(タイ) t'ai(タイ) t'ai(タイ) tái(タイ) ダイ タイ と乙類(日本書紀)
d̩iəg(ディェ) yiei(ィェィ) i(イ) i(イ) yí(イ) 該当する表音無し

臺字 と 台字 の表音を見れば時代毎の表音変遷の様子を読み取れる事が分かる
片仮名では表音を表記しにくいが、臺字 は上古音では ドゥァ と表音し、中古音では ドゥァィ と表音したと思われる
ドゥァ は倭語で相応するのは ダ で あり、ドゥァィ の倭語表音は ダイ と なるであろう

恰度この頃に日本から遣唐使が派遣され、留学僧等が 臺:ダイ と言う漢字の読み方を日本にもたらしたものと予想される
その後 台字 との混用が行われて タイ と表音されるように なったので あろう
台字 が万葉仮名として利用される際に、と乙類 として使われる事に なったらしい

表音とは時代や年月を経て少しずつ変遷するものと思うが、それでも ある時点で全然別の表音に切り替わるものでは無い
臺字 に ついては以下のように変遷したらしい事が分かる

上古音:ドゥァ(ダ) → 中古音:ドゥァィ(ダイ) → 中世音:タイ → 現代:音タイ


もし 臺字 の上古音が ド で あった場合、以下のように変遷した事に なる

上古音:ド → 中古音:ドゥァィ(ダイ) → 中世音:タイ → 現代:音タイ


この場合、上古音から中古音への変遷が不自然に映ってしまう事に なる
連続性の無い表音の主張は、その主張の中に別の意図[註1]が あると考えるべきで あろう

註1:

要するに、関西説論者は 邪馬臺 を ヤマト と訓みたいので ある
そのためには まず 邪馬臺 の訓はヤマド で あると主張し、ヤマド と ヤマト は表音が近い と言う結論に持って行きたいのであろう


公開 : 2023年7月30日
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