1. 卑弥弓呼は倭語で何と訓むのか
卑弥弓呼 は倭語で何と
訓めば良いのか、長い事疑問に思っていた
卑弥弓呼 の漢語での表音が難解で、倭語と今一つ結び付きにくいのである
卑弥弓呼 の表音は以下の通り
卑,彌(弥),弓,呼字の表音
| 字 |
字音候補 |
上古音 |
中古音 |
中世音 |
現代音 |
拼音 |
呉音 |
漢音 |
万葉仮名 |
| 卑 |
- |
pieg(ピェ) |
piĕ(ピェ) |
pi(ピ) |
pɔi(ピィ) |
bēi(ベイ) |
ヒ |
ヒ |
ひ甲類(日本書紀,古事記,万葉集) |
| 彌(弥) |
- |
miĕr(ミェ) |
miĕ(mbiĕ)(ミェ,ムビェ) |
mi(ミ) |
mi(ミ) |
mí(ミイ) |
ミ |
ビ |
み甲類(日本書紀:歌謡,古事記:歌謡,万葉集) ム(日本書紀)[註1] び甲類(日本書紀:歌謡) |
| 弓 |
- |
kɪuəŋ(キゥン) |
kɪuŋ(キゥン) |
kɪoŋ(キォン) |
kuəŋ(クォン) |
gōng(ゴォン) |
ク・クウ |
キュウ(キウ) |
ゆ(日本書紀,古事記,万葉集)[註2] |
| 呼 |
- |
hag(ハ) |
ho(ホ) |
hu(フ) |
hu(フ) |
hū(フゥ) |
ク |
コ |
を(万葉集) |
註1:
厳密には万葉仮名では無いかも知れない
註2:
借訓の万葉仮名
卑弥弓呼 の上古音は pieg miĕr kɪuəŋ hag、中古音は piĕ miĕ kiung ho となる
片仮名で書くと、上古音は ピェミェキゥンハ、中古音は ピェミェキゥンホ か
piĕ miĕ kiung ho は ピェミェキゥンフオ の方が良いかも知れない
呼 の表音は上古音,中古音,万葉仮名それぞれ別音と言う非常に困ったものであり、どのように訓むのか判断が難しい
中古音での別説としては piĕ miĕ kiung ɦo と言うものも あり、これだと ピェミェキゥンゥォ と なる
現時点では、私はフオもしくはゥォに近い音と言う考え方に傾きつつある
2. 卑弥弓呼は火神酒魚か
呼 は中古音寄りの フオ(ゥォ) を採用し全体として中古音を採用するとなると、ピェミェキゥンフオ(ピェミェキゥンゥォ) となる
これは倭語では どう言った語彙なのかを考えてみると、ふと以下のような語を思い付いたので ある
ピェミェキゥンフオ(ピェミェキゥンゥォ)に相応する倭語は、
ヒミキウヲでは無かったか?
片仮名で書くとヒミキウヲ、平仮名で書くと ひみきうを となるが、これが どう言う語彙の組み合わせ なのかを考えてみると、以下のような候補が思い付く
ひ: 緋,火,氷,檜,日
み: 身,海
き: 城,忌,木,樹,酒,消,来
う: 鵜
を: 尾
色々と組み合わせていて、何となく頭に浮かんだ語は
火神酒魚 であった
意味としては、
焼き魚と酒を神に供える者と言う感じであろうか
あるいは
火と酒と魚と言う意味で、神への供え物を並べた名前なのかも知れない
何となれば、
酒と肴を飲み食いする酔っ払いを思い浮かべて苦笑してしまったが
公開 : 2024年2月8日