1. 偽作の軍学書と貶められて来た 甲陽軍鑑 に陽の目が当たる
甲陽軍鑑 と言う書物が ある
従来は江戸時代の偽書と判定されて来た不憫な史料で ある
これを分類すると軍記物と言うのか軍学書と言うべきか それとも史書と呼ぶべき なのか何とも微妙では あるが、とにかく そう言う古文書が ある
そして それは偽書偽作の
類で ある らしい
一応の著者は武田家に仕えた 高坂 正信(春日 虎綱) で戦国時代の著作物と されているが、実際には江戸時代の軍学者で ある 小幡 景憲 が 高坂 正信 に仮託して
著したもの で ある との説が
罷り通ってしまっている
しかし以下の番組では、
歴史秘話ヒストリア - NHK 武田信玄「甲陽軍鑑」が語る真実
通説に対して国語学者の 酒井 憲二 は書中に おける使用語彙から写本の伝写元経緯を明らかに し、著作が江戸時代では無く室町時代で ある事が判明した と訴えている
つまり偽書と されていた 甲陽軍鑑 は真書で本当に 高坂 正信 の口述を筆記したもので ある と言う
重箱の隅突き で偽書扱い する日本の歴史学者群
私は 甲陽軍鑑 内に記載された内容が正しい か どうか に ついて は判断する材料を充分に持ち合わせていない ので何とも言えないが、
強ち史実から遠く離れた事が
記された とは思わない
しかし、国史学者の 田中 義成(【甲陽軍鑑考】発表) は そうは考えなかった
様で、書中に記載されている日付に誤記が ある事等を
基に 甲陽軍鑑 全体が低信憑で ある と断じてしまった何とも愚劣で粗末な事で あるが、歴史学者と言う人種は瑣事瑣末な事に異常な
程の関心を示しつつも全体の把握を頑な に拒否拒絶する事は良くある事であり、これにより長きに
亘って 甲陽軍鑑 の信憑性を貶める事と なってしまった
何とも不幸な史料で ある
3. 甲陽軍鑑 以外にも偽書扱い されて時流に埋もれてしまった史料は無いか
幸い にして 甲陽軍鑑 は評価を見直されて世に出たが、あるいは
他にも不当な評価を受けて世に出られなくなっている史料は無いのか、と考えると背筋が寒くなる
小人な歴史学者の愚行で貴重な史書が雲隠れ を
強いられる事態が無い事を、切に願う
公開 : 2018年11月6日