1. 異彩の刑事物映画
私は刑事物の TV や映画と言う物は基本的に余り見ないので あるが、この出色(しゅっしょく)の刑事物だけは別で ある
今まで幾度と無く再放送されているが、つい最近(2015/10)も放映されていて毎日見続けて しまった
既見(きけん)の ものは内容を覚えて しまっているので あるが、それでも つい何と無く見てしまうので ある
2. 仮痴不癲よりも心理の罠
この映画は見た目は風采が上がらないのに何故か着眼点が鋭く、泥臭い捜査を しつこく続けるピーター・フォークが次第に犯人を追い詰めて行く所が見所と されている
兵法三十六計 に記(しる) す所の仮痴不癲(かちふてん) と言うべきで あろうか
吹き替え を演じた小池 朝雄が これまた填(は)まり役で、随処(ずいしょ)に聞かれた
「よござんすか?」
は耳に通りが良く、何とも心地良かった
しかし、私は この映画で見るべきは うだつの上がらない外見や所作と対比される鋭い犯人への追及では無いと思う
終幕に近い場面、
物証に乏しく今一つ追い詰め切れない犯人に罠を仕掛け、場合に よっては犯人に とっての不安材料で誘いを かけて罠に嵌(は)めて陥(おとしい)れる様子が実に見事なので ある
特に この手法が顕著なのが
逆転の構図(Negative Reaction)で あろう
逆転の構図 とは何とも篩(ふる)った意訳で あるが、直訳すれば ネガ(写真)の逆現像 と言った所で あろうか
少し趣が異なるが、
二枚のドガの絵も伏線として中盤で罠を仕掛けた作で ある
最後にコロンボ刑事が両腕を出して見せる場面は、策が功を奏して見事に落ちる
場合に よっては犯人の手管を逆用した罠を かける事も ある
代表的な作としては 意識の下の映像 で あろうか
ただ、この手法が本当に有効で あるのか どうかは、良く分からない
現在の見解は どうなので あろう
ただ、痴や癲と言う訳(わけ)では無いが、この主人公のピーター・フォークさんは最後にはアルツハイマー症に罹患(りかん)して死亡してしまった と言う
こう言ってしまっては何であるが、俳優は せめて他(ほか)の死に方で静かに死んで欲しいと言う気が しなくも無い
加齢と病気は誰に とっても避けられぬ もので致(いた)し方無い事では あるが、少し残念では ある
3. 市警察とは何だ?
コロンボ警部はロサンゼルス市警察に属する者で あるが、米国警察と日本警察の差異が良く分からない
警察官の中でも特に刑事と呼ばれる立場に あり、階級は警部(註)で あると言う
話中に語られるには、市警察殺人課刑事の中でもエース級、伝説的な英雄と見做(みな)されている らしいセリフも聞き取れる
註:
翻訳上の設定と言う事で あるのかも知れないが、話中では何故か コロンボ警部 と呼称されている
何故で あろうか?
日本では警察庁が あって警視庁や都道府県警察が ある
良く知らないが、県警察の上には更に警察局なる代物が ある らしい
いや、お世話に なった事は幸いにして無いので行った事は無いが
米国の市警察に対比すべきは日本の県警と言った所で あろうか
市と県では規模が違う様(よう)にも思えるが、抑々(そもそも)日本と米国では国土が違い過ぎるので、その分を鑑(かんが)みる ならば意外と釣り合いが取れているのかも知れない
4. 関連 URI
参考と なる URI は以下の通り
刑事コロンボ - Wikipedia
兵法三十六計 - Wikipedia
公開 : 2016年4月25日